マンション一棟をまるごと旅館に

マンションの「旅館(民泊)化」の動き

近年、賃貸マンションから一棟ごと旅館(民泊)への変更が多く見られ、また検討中の方もたくさんいらっしゃいます。
理由としては東京オリンピックや最近の観光客の増加、また逆にマイナス金利等でマンション建設ラッシュが起きた結果、賃貸では収益力の低下した物件が増加しつつあることなどでしょう。

ただし、マンションを一棟ごと旅館(民泊)へ変更しようとする場合、他とは別のハードルが存在しますここではそれについて説明していきます。

※ここではマンション一棟を旅館(民泊)へ変更する場合の説明を行います。マンションの一部で民泊を行う場合の説明は別に行います。

旅館業への変更には用途変更が必要

旅館業許可関連のサイトに行くと最も目にする言葉のひとつが「100㎡未満ならば用途変更は不要」ですが、マンション一棟を旅館業にする場合、まず100㎡未満であるということは考えられません。

となると、旅館業許可を受けるためには建物の用途を「共同住宅」から変更する必要があります。

しかし、マンションから旅館への用途変更には「容積率」の問題があるのです。

容積率とは

容積率とは、敷地面積に対する建築延べ床面積の割合のことです。用途地域ごとに50%~1300%の範囲で制限が定められていますが、例えば容積率が200%で土地が100㎡ならば基本的には延べ床面積が200㎡までの建物しか建てられないというようなことです(※)。
あまりに高層な建物が建って周囲に悪影響を及ぼすようなことを避ける必要があるためです。

この容積率がなぜ問題になるかというと、マンションは容積率の緩和が行われているからです。

どういうことかというと、マンションの場合、共用部分の廊下や階段の床面積は延べ面積に算入しなくてよいとされています。
仮に400㎡までしか建てられない土地において廊下や階段などの共用部分が100㎡ある場合、廊下や階段を床面積としてカウントしなくてもよいため、その100㎡分を使って500㎡分建築、ということも可能なのです。

このマンションにおける容積率の緩和を目いっぱい利用して建てられたマンションは、当然ながらマンション以外の用途では容積率の規定に抵触することになってしまいます。
容積率をオーバーしている場合は用途変更は不可能ですのでそのマンションを旅館として利用することはできないのです。

※別の規定により緩和や規制の措置が取られることがあるため、容積率だけで建築物の容積の上限が決まるわけではないことに注意が必要です。

国土交通省の容積率の規制緩和通知

上記のように容積率の関係で用途変更ができず、旅館への変更を断念せざるを得ない物件や案件はとても多かったのですが、観光業のニーズやマンションの有効利用の促進の面からか、2016年に国土交通省は容積率の規制緩和の通知を自治体に行いました。詳しくはこちらのページをご覧ください。

この通知によって、それまで不可能だった物件についても旅館業への変更が可能となる場合が出てくると思われます。

但し注意が必要なのは、この通知によって容積率が緩和されたわけではないということです。
この通知は各自治体に容積率の規制緩和を利用した施策を促すにとどまるため、実際に適用するかどうか、どの程度緩和するかといった判断は各自治体のに委ねられており、物件の立地自治体ないし地区において緩和が行われなければ規制は従来通りであり、やはりその物件は利用できないのです。

京都市について言えば、この通知に対応した緩和施策を行う予定は2017年2月現在では特にないようですので従来通りの運用となります。但し京都市では通知以前から京都駅周辺の地区においては独自に容積率の緩和を行っています。

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