旅館業許可の要件

旅館業許可を受けるためには

旅館業許可を受けるためにはクリアしなければならない要件が存在します。大きく分けると以下の3種類の要件があると言えます(※)

  • 申請者が欠格要件に該当しない(法人の場合は業務を行う役員の中に上の条件に該当する者が存在しない)
  • 施設の設置場所が適切であること
  • 施設の構造設備が政令で定める基準に適合していること

最初の一つは経営する「人」に着目した要件です。簡単にいえば旅館を経営するのに問題がある人には許可を与えるわけにはいきませんよ、ということです。

二つ目の要件は旅館業を行う「場所」に着目した要件です。ここで旅館業の営業をされるとまわりに悪影響が出るかもしれないので許可できません、ということです。

三つ目の要件は旅館業を行う「設備」に着目した要件です。不衛生だったり安全じゃない構造設備では旅館業許可を与えるわけにはいきません、ということです。

※なお、ここでは主に簡易宿所を対象にした説明を行っています。

欠格要件とは

旅館業許可を受けるためには申請者が欠格要件に該当しない(法人の場合は業務を行う役員の中に上の条件に該当する者が存在しない)事が必要です。

旅館業許可における欠格要件は

  • 旅館業法または旅館業法に基づく処分に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けなくなった日から起算して3年を経過していない者
  • 許可を取り消され、取消の日から起算して3年を経過していない者

それぞれについて、簡単に解説しますと、最初の要件は『旅館業法または旅館業法に基づく処分に違反して』がポイントです。「旅館業営業許可の根拠法令に違反して処罰された場合は3年は許可を与えません」ということです。
次の要件は営業許可を与えられながら、取消の処分を受けた場合は、処分から3年は許可を与えませんということです。

法人の場合に業務を行う役員の中に条件に該当する者が存在しない事が必要な理由は、例えばゲストハウスを経営していた人がいるとしましょう。ところが許可を取り消されるような重大な不祥事を起こしてしまった。このままだと営業許可取消は免れない。ではどうするか。

ここで経営者は考えます。取消の処分を受けても、自分とは別の法人を作って別のゲストハウスを始めればいい、自分はそこで役員に納まればいいのではないかと。
このようなことがまかり通ることは許されないからです。

設置場所要件とは

旅館営業の設置場所が、次の施設の敷地(これらの用に供する土地も含む。)の周囲約100mの区域内にあり、設置によりその施設の清純な施設環境が著しく害されるおそれがある場合、許可することはできないとされています(※1)。

  • 学校教育法に規定する学校(※2)
  • 児童福祉法に規定する児童福祉施設
  • 社会教育法に規定する社会教育に関する施設

簡単に説明すれば学校などの近くに子供に悪影響があるような物をつくられては困る。ということです。
逆にいえば周囲100m以内に施設が存在する場合であっても、著しく害されるおそれがなければ(他の不許可要件が無ければ)許可は与えられる可能性はある、ということです。

また、施設設置場所の根本的な問題として、用途地域の問題があります。
用途地域に関する詳しい説明は別途しますが、とりあえず「住居専用地域」とつく地域と「工業地域」「工業専用地域」については旅館業の施設を設置することはできない、と考えておいてください(特殊な例外もあります)(※3)。

※1該当施設が存在する場合でも学校照会等の結果、許可される場合もあります。また、条例により対象が異なる場合があります。
※2大学は対象となっていません。
※3検討中の場所がどの用途地域かは自治体のHPなどで確認可能です。

施設の構造設備基準は

簡易宿所営業の許可を受けるために必要な構造設備基準は

  • 客室の延床面積は、33平方メートル以上であること(※)
  • 階層式寝台を有する場合には、上段と下段の間隔は、おおむね1m以上であること
  • 適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を有すること
  • 当該施設に近接して公衆浴場がある等入浴に支障をきたさないと認められる場合を除き、宿泊者の需要を満たすことができる規模の入浴設備を有すること
  • 宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の洗面設備を有すること
  • 適当な数の便所を有すること
  • その他都道府県が条例で定める構造設備の基準に適合すること

実際のところ、この要件が最も重要です。
建物がこの基準に適合していなければ許可はおりませんので、そのままではその建物を簡易宿所として使用することはできません。

入浴施設やトイレに関しては、近所に銭湯がある場合などにはなくてもよいようにも思えますが、まず設置が必要だといえますし、トイレの場合、数にも注意が必要になります。

なお、構造施設において最も重要なポイントとなる帳場(フロント)と100㎡の面積については別ページにて詳しく解説します。

※定員10名未満の小規模な簡易宿所の場合は3.3㎡×人数分の床面積でOK。

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