京都市での民泊の旅館業法的な立ち位置

いわゆる違法民泊対策を強化する動き

役所

まずはこのページをご覧ください。
このページにあるように、京都市では民泊を旅館業法における簡易宿所にあたるとし、その営業には旅館業法の許可が必要である、としています。

そして京都市では2016年に入り矢継ぎ早にいわゆる違法31民泊対策を打ち出しています。
2015年11月に全国に先駆けて観光や衛生、消防などの担当職員で構成する「民泊」対応プロジェクトチームを発足させ、インターネット及び現場の両面から実態調査を進め、違法民泊に対する断固たる姿勢を見せています。

その動きとして

  • 2月1日、民泊の利用者に向けた「旅館業法に基づく許可施設一覧」を発表
  • 3月14日、京都市のホームページにて民泊利用に関する呼びかけ
  • 5月9日、上記京都市の民泊施設実態調査をホームページで公開
  • 7月13日、民泊通報窓口を開設
  • 10月、無許可民泊148件に営業停止を指導したことを公表

このような動きの中、12月から旅館業許可についての新しい指導要綱が実施されます。

新指導要綱のインパクト

2016年12月施行の新指導要綱は申請実務に関わっている者にはかなりのインパクトがあります。
全国的な旅館業法の要件緩和の動きとはまったく方向性が違うものだからです。

印象としては今までの旅館業許可の運用に大阪などの特区民泊に必要とされるものを加えた感じといったところです。つまり今までの手続きにさらにいろいろと追加がなされたということです。

まず、施設使用に係る制約の不存在確認が必要とされました。わかりにくいかもしれませんが、要するに以前は賃貸物件で民泊(簡易宿所)を行う場合などであっても京都市サイドでは「家主から民泊をする許可もらってるのか?」といったことを確認していませんでした(実際には消防法の手続きの方では行うのですが)。

特区民泊の方の手続きでは賃貸借契約書やマンション管理規約内容について民泊としての使用許諾を求める必要ありとされていますので、それをとりいれたのではないかと思われます。

連絡先の周知も特区民泊の方に類似の手続きがあります。民泊(簡易宿所)の営業を開始するときまでに、自治会等に対し、許可施設の運営について、要望等を伝えたり、利用者の迷惑行為が発生したときに直ちに対処を求めたりすることができる電話番号その他の連絡先を周知しなければならないとされました。民泊に対する騒音やゴミ出しなどの苦情の多さに対応したものでしょう。

他の注目すべきポイントとしては計画の公開義務と無許可営業への措置があります。
計画の公開義務とは申請をしようとする日の20日前までに、申請施設の計画の概要を記載した標識を設置し、許可取得までの公開を求めるものです。申請者にとってかなりの負担となりうるものだと言えます。

無許可営業への措置はまず警告(指導)、そして警告を行うことができない(連絡できない、連絡先がわからない場合でしょうか)場合は張り紙で警告し、警告に従わない場合は警察に告発する事も辞さない、というような強い内容になっています。

際立つ他自治体との姿勢の違い

京都市旅館トップ

新要綱は上記のように民泊事業者にとって緩和と言える部分はなく、手続きや運用面においてより厳しいものとなったことは否定できません。
これは京都市とほかの自治体との観光振興に対するアプローチの違いによるものではないかと思われます。

福岡市や、関西でもすでに特区民泊を開始し、簡易宿所の玄関帳場(フロント)緩和方針を決定している大阪市は、旅館業法の趣旨を守りながら緩和できるギリギリの線を探り、なるべく適法な民泊施設を増やしていこうというスタンス。民泊自体をなるべく活用していこうという考え方に思えます。

全体的には福岡や大阪のような考え方の方が多く見える中、京都は単純な宿泊施設増加よりも安全安心により主眼を置き、観光都市京都にふさわしい宿泊施設の体制を整える方が重要である、と考えているようです。
つまり基本的には京都の観光政策的に違法民泊の存在は好ましくないし、要件を緩和しすぎた民泊も京都のイメージダウンにつながるから不要。今のペースできちんと旅館許可をとった宿泊施設が増えていけばニーズは賄えるし、違法民泊も淘汰されていくだろう…、といった考え方なのではないでしょうか。

12月から旅館業許可についての新しい指導要綱が実施され、2017年4月からは対応部署が再編されて、大阪市などと近い体制になったように思われます。ただしそれに伴い、手続きがより厳格化したように思われます。
特に図面等についてはかなり厳しく見ているように思えますので図面作成を依頼する場合はかなり申請に精通した方にお願いした方が良さそうに思えます。

個人的には手続き上の負担増加は逆に違法民泊の増加や、行政の担当部署の負担増につながる可能性に多少の危惧を抱いていますが、それぞれの自治体の判断がどういう結果となって表れるのか、これからも注視していきたいと思います。

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