旅館業許可における帳場(フロント)要件とその緩和の流れ

簡易宿所許可を受けるための帳場(フロント)は

旅館業(簡易宿所)許可を受けるためには玄関帳場(フロント)を設置するのが原則とされていました。

実は旅館業法には帳場(フロント)を設置しなければならないとは直接には規定されていません。
厚生労働省が「旅館業における衛生等管理要領」という通知において簡易宿所でも玄関帳場(フロント)の設置を求め、各自治体はそれに応じ、玄関帳場(フロント)設置を必要とした形での条例を制定していきました。

この帳場(フロント)というのは、要求されている面積は決して広くはなく、ちょっと聞いただけではそれほど影響はなさそうに思えます。

ところが実際に簡易宿所許可を検討する段階となると、この帳場(フロント)設置が大きな壁になることが多いのです。

帳場(フロント)設置で問題になるのは

帳場(フロント)として要求されている面積は決して広くはありません。そのため実際に計画策定に着手するまではあまり気にしていない方がほとんどです。しかしこれが実際に計画を進めていく段階になると、その難しさがわかってくるのです。

ポイントはフロントは全てのお客さんが通るところに設置する必要があるということです。

あまりピンとこないかもしれませんが、仮にご自宅の一部を簡易宿所にしようとしているとして、間取りを考えてみてください。人が必ず通らないといけない場所はそれほどないはずです。
帳場(フロント)を設置できる場所はかなり限られますし、その限られた場所に帳場(フロント)を設置すると、他の客室や施設の配置も少なからず影響を受けます。

特に床面積100㎡までで用途変更なしで簡易宿所の許可を受けようとする場合、客室や浴室・トイレなどの配置がかなり難しいものになる場合があります。
そのため自宅の改装や所有する空きマンションや事務所を利用してゲストハウスの開業を考えていた方にとって、帳場(フロント)の設置はハードルとなってきた経緯があるのです。

帳場(フロント)要件の緩和

本年(平成28年)になって、旅館業(簡易宿所)許可要件について大きな変化がありました。
旅館業法施行令改正による、簡易宿所における「客室の延床面積要件」緩和と、厚生労働省の「旅館業における衛生等管理要領」改正による簡易宿所の玄関帳場(フロント)設置要件の緩和です。

改正前の衛生等管理要領には

適当な規模の玄関、玄関帳場又はフロント及びこれに類する設備を設けること。その他「第1ホテル営業及び旅館営業の施設設備の基準」の11(玄関帳場又はフロント)に準じて設けること

とされていますが、改正後の衛生等管理要領には

適当な規模の玄関、玄関帳場又はフロント及びこれに類する設備を設けることが望ましいこと。その他「第1 ホテル営業及び旅館営業の施設設備の基準」の11(玄関帳場又はフロント)に準じて設けることが望ましいこと。ただし、宿泊者の数を10人未満として申請がなされた施設であって、次の各号のいずれにも該当するときは、これらの設備を設けることは要しないこと。

(1) 玄関帳場等に代替する機能を有する設備を設けることその他善良の風俗の保持を図るための措置が講じられていること。

(2) 事故が発生したときその他の緊急時における迅速な対応のための体制が整備 されていること。

つまりはどのように変わったかというと、宿泊人数10人未満の小規模の簡易宿所は、帳場(フロント)が無い場合でもそれに代わる何らかの体制を整えていればよい、とされました。(「何らかの内容」は自治体によることになりそうですが)

今回の改正の背景には、観光需要の高まりとそれを取り込んで経済成長につなげたいという考えと、一方で増え続ける違法民泊への対処という両方があるように思えます。
簡易宿所の要件をある程度緩和し、許可取得を促す一方、違法民泊の取り締まりが進むように考えられます。

改正を受けた今後の展開は

帳場(フロント)要件の緩和については現段階ではあくまで厚生労働省の要領が改正されたに過ぎず、実施は各自治体の条例の改正を待つ必要があります。

平成28年11月現在で帳場(フロント)についての条例改正に前向きな自治体も存在するようですが、検討中ないし予定していない自治体も多いようです。京都市でも旅館業法施行細則の改正を進めているという情報は今のところないように思われます(※)。

一方、大阪市ではすでに条例が可決され、現在細部について検討中とのことで、平成29年の早い段階から帳場(フロント)要件の緩和が行われる可能性が出てきました。
大阪市特区民泊と比較検討する方が増えるかもしれません。

注意が必要なのは今回の改正はあくまでも旅館業法に関わる部分のみであり、その他の法令(「建築基準法」「消防法」など)について緩和があったわけではないということです。これらの法律による規制も、旅館業の許可については大きな壁になりうるからです。

※京都では町家の一棟貸しの場合にのみ帳場の設置義務の緩和が行われています。

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